分水嶺 1
- 2023/09/19 (Tue)
- ┣分水嶺 |
- Edit |
- ▲Top
タンジェリン・タンゴは、山に生きてきた。
深い山中。空気は蒼く、まだ日も高いというのに、山林に阻まれて陽は落ちず足元はわずかに暗い。
木々と草陰に身を隠し、呼吸のわずかな音すら立てず、タンジェは”その時"を待っている。
一般に、森の中で野生動物に遭遇するのは危険だ。やつらは遠ざけるべきで、そうするために人為的な音は出したほうがいい。
だが――"狩る側"ならば、話は別だ。
音も、気配も消して、自然の中に沈み、ただ、待つ。それが"狩り"の不文律である。
静謐を裂く。
けたたましく勇ましい、犬の吠声だ。
タンジェは顔を上げた。視線だけで木々の隙間を縫う。瞬間、地面を蹴って飛び出した。
吠え立てられて逃げ込んだ"獲物"と駆けこむタンジェとがぴったり交差し、遭遇する。
視界に飛び込む、3mはあろうかというグリズリー。
「――喰らいやがれッ!!」
タンジェはほとんど不意打ちの形で、迷わずその巨体に戦斧を叩きこんだ。
>>2
- << 分水嶺 2
- | HOME |
- キャラクター紹介 >>
プロフィール
カテゴリー
最新記事
(01/01)
(08/23)
(08/23)
(08/23)
(08/23)